海外でサービス拡充

- 野副 州旦 氏
富士通の現在のテーマはサービス事業の一段の強化、ハードウエア事業を成長軌道に乗せること、海外事業の利益率向上だ。一方で将来、成長が見込めない事業は整理する。HDD事業からの撤退という決断は、こういう経営環境が厳しい時期しかできない。
グローバル競争にさらされる顧客に価値を提供し続けるには、富士通自身がグローバル化を進めなければならない。ただ、この多様化したITの世界では、一社単独では顧客をサポートできない。世界で存在感を高めれば、おのずと海外のIT企業とパートナーシップが築ける。
海外への投資では1兆円はロスを出した。もちろん単に損を出してきただけではない。英国に拠点を置く完全子会社の富士通サービスは、2008年で5000億円強の売り上げがあり、約2万5000人の従業員がいる。もともと国策で誕生した会社だが、1981年から一緒に事業に取り組み、今では1件で1500億円を超える商談も獲得できるようになった。
ITサービスはハードウエアほど寡占化が進んでいない。シェア首位のIBMでも7%程度。富士通の高い能力、経験を生かしていける分野だ。クラウドやSaaSについても色々手を打っている。
「IT資産をどう所有すべきか」ということから、「ICTをどう利活用していくか」という時代に入っていく。今、開発している次世代スーパーコンピューターなどの技術開発が、クラウドでも十分生かせる。海外事業の拡大はデータセンターを核としたサービスという手法が一番近道だ。
4月に独シーメンスとの合弁会社を完全子会社化したのを機に、様々な海外企業からの協業、提携の申し入れが相次いでいる。初めてグローバル化の扉を本格的に開いたかなと思っている。ハードウエア、サービスの両輪でグローバルなビジネスを展開できる体制を早くつくり上げたい。